atelier riccio

おもに西洋絵画の模写をしているグループです。絵画の古典技法の研究もしています。アートについてや日々のことなども。【riccio=ハリネズミ。ヨーロッパでは幸運を運んでくると言われています】

とりあえず線を引こう

 ケイコです。

今回は初心に帰って鉛筆の模写のお話。
絵画修復の勉強をするものにとっては必ず通る道だと思います。

自分の模写したいものに格子状に線を引き、紙にも同じ間隔で線を引き正確に写しとっていきます。
イタリアではこれをクアドレッタトゥーラ(quadrettatura)と呼んでました。
quadroはイタリア語で四角形のって意味ですね。

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私が絵画修復教室で初めてマサコさん、トモコさんに出会った頃みんなこの作業をしていました

はじめは1㎝間隔、慣れていけば2㎝、3㎝、5㎝と格子を大きくしていきます。で、最終的には線なしで。
イタリアの修復学校でもはじめの頃はひたすらこの作業。
ひたすら線を引き、ひたすら写すの繰り返し(笑)
静まり返った教室にひたすらシャー!!シャー!!という線をひく音だけが鳴り響くという異様な空間(笑)

 

ちなみにロベルタの通っているOPD、絵画修復部門の入学試験の一つにこの模写の試験があります。
かなり前に聞いた話だから今は違うのかもしれないけど(イタリアはすぐに変わる(笑))
課題を渡されてそれを制限時間内に指定された倍率に正確に模写しなさいというもの。
もちろんこのquadrettaturaを使って模写をしていく。最後に線を消してできあがり。
 
 
芸術家と違い修復士は自分の線を出してはいけない。
だから美大でひたすらデッサンをするのと私たちがこのquadrettaturaをするのは同じなんだと思う。
基礎中の基礎なんですね
 

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